高浜(たかはま)町と海の関わりを学ぼう!
1日目の最初は、高浜町の海を知るスペシャリストである高浜町産業振興課 主査 中村広花さんから、「海と京の文化が交わる町・若狭高浜」について学びました。高浜町の海にまつわる歴史の中では、豊富な海の幸が獲れることから都の食文化を支える「御食国(みけつくに)」として栄え、出土された木簡の記述から、寿司の起源となる「なれ寿司」の存在があったことが知られています。
また、「水産物の資源管理」についても学びました。魚をはじめとした水産資源は、農業とは異なり、漁獲しても親となる魚が残っていれば、自然と次の新たな資源を生み出してくれます。これは食物連鎖によっても生産が支えられており、環境の変化によって崩れてしまうことがあります。現在、漁師の減少によって、生物のバランスにも変化が現れていることがわかりました。
持続可能な海を目指すため、高浜町の様々な取り組みも知ることができました。魚を食べやすく加工する「海の6次産業化」や、多様な食文化を守るために結成された「3色レンジャー」が活躍していることを知りました。特に、「海の6次産業化」やとして、「UMIKARA」というスーパーマーケットを漁港の隣にオープンし、観光客や地元の人が気軽にお魚を購入できるきっかけを作っています。
若狭湾とレンコダイを学ぼう!
若狭高浜漁業協同組合の上山幸治さんに、動画を見ながら高浜町で行われている漁の方法を学びました。大型定置網(ていちあみ)漁で獲れた魚をいけすに入れる様子や、160キロの大きなマグロの水揚げ(過去には300キロ近いマグロも)、タコつぼ漁、小型定置網(ていちあみ)での小魚の漁獲、ブリの大量水揚げ(年末から新年にかけて約4万本)など、様々な漁法が紹介されました。特に、また、レンコダイは海の底まで罠が届く「延縄(はえなわ)漁」などで漁獲されていることがわかりました。
「若狭湾にいる鯛の種類」についても教えていただきました。現在、若狭湾で獲れる鯛はアマダイ、イソゴ、フエフキダイ、マトウダイ、メダイ、レンコダイ、クロダイ、イシダイ、チダイなど13種類が挙げられます。特に、レンコダイは「キダイ」の別称で、水分量が多く、身がしっかりしているため、かまぼこなどによく使われることや、皮と身の間が特に美味しいそうです。
漁港で競りを調査しよう!
実際に市場で「競り」が行われる様子を見学しました。競りとは魚を買い付けることで、朝獲れた魚は、競りによって値段を高くつけた人が買うことができます。競りはキロ単価で行われ、レンコダイは京都府舞鶴(まいづる)市の市場では1キロあたり1万4千円から2万4千円ほどで取引されているとのことです。魚の獲れる量や旬によっても金額が変動します。
過去5年間の福井県全体と高浜町の月ごとの水揚げ量データを見ると、5年前は福井県全体で約12万キロ、高浜町では約1万キロの水揚げがありましたが、昨年は福井県全体で約11万5千キロ、高浜町では約8,871キロに減少しています。漁獲量の減少の理由として、漁師の数の減少(5年前の11件から現在は6件程度)や温暖化の水温上昇による海産物の変化や減少が考えられます。
レンコダイをスケッチして、特徴を観察しました。レンコダイの大きさは手のひらサイズ(約20cm)から30cmくらいで、とても美しい赤い色が特徴で、重さは約700グラムほどです。レンコダイの旬は毎年9〜5月の8ヶ月間が漁期となっており、それ以外の期間は漁が禁止されています。
郷土食”小鯛ささ漬”を調査しよう
小浜市内にある小浜海産物株式会社では、川嶋忠典さんに「小鯛のささ漬」をはじめとした海産物の加工品の製造について教わりました。今回は工場でどのように製造されているかを見学しました。小鯛ささ漬は、明治時代に誕生したとされる伝統的な調理方法です。レンコダイを塩と酢で〆るシンプルな調理ながらも、本来の鯛の身の美味しさとふっくらとした食感を保つため、地域内はもちろん、全国から買い求める人がいます。
工場内では、レンコダイを3枚におろす作業場を見学しました。約20人の作業員が包丁を使って丁寧に素早く魚をさばきます。1日の処理量は10〜20万トンほどの量を処理しているそうです。熟練した作業員は、1匹の魚を約6〜7秒でさばくことができてしまいます。3枚おろしした後、塩をして一晩熟成させ、翌日に酢で調味します。ゆず味や昆布を使った商品もあり、手まり寿司にして食べるとおすすめというアドバイスも受けました。
小浜海産物株式会社では小鯛のささ漬けの他にも、「タイカツ」などのさまざまな商品を加工しています。新しい商品開発について、消費者のニーズや流行を調査しながら、それに合ったレンコダイの調理法を模索しており、もずくを練り込んだ天ぷらは県外の人にも人気があるそうです。70種類以上もの手作業の多い製造工程の大変さを理解してもらいながら商品を味わってほしいというメッセージをいただきました。
レンコダイをもっと深堀りしてみよう!
福井県立大学小浜キャンパスでは、松川雅仁教授から「小鯛のささ漬け」の調理法として塩をふった後に酢で〆る順番が大事であることを教わりました。現在は、この伝統的な製法を、約10社が守り続けています。また、2001年頃から世界の水産物生産において養殖の割合が増加しており、全体の漁獲量が減っているため、このバランスは今後もさらに変化していく可能性が高いそうです。
富永修教授による研究施設見学の案内がありました。様々な海洋生物の養殖(ようしょく)研究が行われており、海に近い環境を施設の中で作ることで繁殖を促し、生産量を保つことを目指しています。自然の中では10万匹のうち2匹しか残らないほど、生存する確率も低いそうです。また、タモロコという魚の糞尿をえさにしてえだまめを栽培するという、とてもユニークな研究も教わりました。
最後に、今日学んだことをもとに、天然(自然の中で生きる)の魚と養殖の魚について、それぞれの価値や、メリットとデメリットがどのようなものがあるかについて話し合い、発表を行いました。調査隊からは、天然のメリットとして「自由に生活できる」「強い身体になる」、デメリットとして「獲れる時と獲れない時がある」「敵に食べられてしまう」などが挙げられました。また、養殖のメリットとして「餌に困らない」「安定した量を育てられる」、デメリットとして「施設や餌などの費用がかかる」など、それぞれ一長一短があることがわかりました。
みんなも考えてみよう!
天然魚の価値とは?
養殖魚の価値とは?

